セックスレス大国、日本のなぜ?

日本人の約半数が過去1ヶ月にセックスをしていない(※日本家族計画協会<JFPA>調べ)、という結果が欧米メディアで大きな議論を呼んでいる。

人口と共に出生率も低下し続け、死亡率が出生率を上回る日本。そもそも、単純にセックスをすれば少子化問題は解決されるのか? というとそんな簡単なことではない。それでも、「日本人はセックスをしないって本当?」「なぜ日本人はセックスをやめてしまったの?」そんな外国人の友人たちからの直球の質問は私を困らせつつも、この話題は日本人以外にとってはとても興味深いものなのだと気づかされる。海外メディアが日本のセックスレスをどう捉えているのか?

恋愛、結婚=コスパが悪い?

恋愛には時間と労力と金がかかる、というデメリットを感じている「草食男子」や「絶食男子」が増殖中の日本。恋人を作るために奮起して時間と金をかけたのに、それが全部徒労に終わったら……と考えてしまい「もう恋愛なんかしない」という境地に達してしまうのだ。結婚も然り。結婚式に始まり、生活費、子供の教育費、離婚すれば慰謝料もかかる。「うまくいくかわからないこと」や他人に対してお金や時間を使いたくないと考え、最初から恋愛しないと決めている「コスパ」男子。当然、セックス離れも加速するいっぽうだ。これには「恋愛や結婚をコストパフォーマンスで考えるのはナンセンス」という意見がありつつ「若者が将来を楽観できないのもわかる」「コストパフォーマンスを考えるのは悪くない」「対等になればいい」「お金を使わずに楽しく過ごせる方法を考えるべき」という声も。

体の相性は二の次? 結婚=財力重視の日本人

「日本人は寡黙で、自分たちの不義についてあまり語らないイメージ」という外国人の予想を反し、婚外恋愛や不倫についてオープンに語られることが増えた昨今の日本。不貞に厳しい文化がありつつも、これらをテーマにしたドラマや芸能人のスキャンダルが話題を占拠し、不倫に走るその多くの理由がパートナーとのセックスレスだという。結婚において、体の相性をそこまで重視しないのも日本人。「少子化社会に関する国際意識調査」が行ったアンケートで「結婚生活や同棲生活を続けていく上で大切なことは?」という質問に対する回答が、日本人は「十分な収入があること」が上位に入るのに対し、例えばフランス人は「性的魅力を保ち続けていること」が上位に入る。「セックスレスは、事前に対処できること」という意見も。婚外恋愛や不倫が世間を賑わせても、セックスレスについては触れないように、タブー視される日本。欧米でもセックスレスの問題はあるものの、それでもまだまだ日本の方が深刻だ 。

離れて寝るのが普通? 日本独特のベッド問題

日本の家庭では一般的な「子供と母親が一緒に寝る」スタイルや、夫婦と子供が一緒に「川の字」になって寝るスタイル。スキンシップをとることで子供の情緒が安定する、子供の変化にすぐに気づける、などのメリットもあるけれど、欧米では子供がかなり小さいうちから子供部屋に一人で寝かせ、夫婦は寝室で一緒に寝るのが一般的。寝る時間・起きる時間が違うから、という睡眠サイクルの違いで夫婦が一緒に寝ないことも、セックスレスにつながる一因に。とくに日本人の出産後の就寝スタイルは、外国人にとっては奇異に映るらしく「同じ部屋でも別々の布団で寝るのにはびっくり」「眠りとはプライベートなもの。もっと言えば、性生活にも結びつくもの」という意見が。そこから発展して「女の人が母親になるからセックスしない、という考え方が理解不能」という声も。子供が生まれても、父である前に夫であり、母である前に妻であること優先する欧米人。就寝スタイルの違いは、各国の男女観、夫婦観の違いも反映しているといえそう。

世界トップクラスのハードワーカー、日本人

長時間労働が蔓延している日本。ハードな労働環境や残業などによる長時間拘束に日々気力、体力を奪われ、帰宅後はただ眠ることで精一杯、という人からすれば、パートナーとセックスレスになるのは当然だ。保育の受け皿がなくて産めない、育てられない、という以前の問題として、雇用や労働環境が厳しすぎて生活に余裕がない、恋愛やセックスは後回しになる、子供を作ることすらできないという現実。長時間労働は体力を消耗させ、女性と男性、双方の生殖能力にもネガティブな影響を与える。これには「日本人が毎日受けているプレッシャーやストレスの量は尋常じゃないと思う」「会社の問題ではなく、日本社会の問題」と同情の声が。

生身の人間は面倒くさい?バーチャルテクノロジー天国、日本

性的欲求や人恋しさをテクノロジーで満足させることができる時代。自分の友達に実際に会うよりも、SNSの中で会話することのほうが多いと答える若者は少なくない。日本には、バーチャル恋愛ゲームやアイドルと繋がれるソーシャルサービスなど、リアルな男女関係をもたずとも満たされる娯楽に溢れている。ポルノ大国でもある日本では、アダルトコンテンツが氾濫し、堂々と消費されている。スマホ一つで簡単に人と繋がることができ、同時に人間関係の面倒な部分を避けることのできるバーチャルな世界は、感情を伴う生身の人間と付き合いを遠ざける要因になる、という見方も。「日本はファンタジーの国」「日本だけでなく、みんな社会に対して諦め、家に閉じこもってる」「オタクとは、永遠の子どものような精神状態なのかも?」というのは外国人の声。かつては、若者を消費に駆り立てるものが「恋愛」だったけれど、最近はセックスはおろか、恋愛自体を面倒だと感じる若者が増えている。先進国でありながら、セックス後進国となりつつある日本。その影響は思いのほか深刻だ。


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